「犬を飼ってみない?」
娘が小学四年生の春でした。
休日に立ち寄ったペットショップ。
ガラス越しにこちらを見つめる、一匹の小さな柴犬。
その日、私たち家族の人生は少しだけ変わりました。
※この物語は、実際によく寄せられるご相談をもとに、個人や施設が特定されないよう再構成したフィクションです。
第1話 「この子も家族だから。」小さな命を迎えた日の約束
「見て、お父さん!」
娘がガラスケースの前で立ち止まりました。
そこには、生後二か月ほどの小さな柴犬がいました。
私たちを見ると、しっぽを振りながら近づいてきます。
妻は笑いながら言いました。
「かわいいね。」
私は犬を飼った経験がありません。
正直、
「毎日の散歩もあるし、大変そうだな。」
そう思っていました。
でも、その子は娘の指をじっと見つめています。
娘は小さな声で言いました。
「この子、お家に帰りたいのかな。」
その言葉を聞いた時、妻が私を見ました。
「どうする?」
私は少し考えてから答えました。
「ちゃんと最後まで面倒を見るなら。」
娘は何度もうなずきました。
「絶対に約束する!」
その日、その子は家族になりました。
名前は
コタロウ。
家に来た初日は落ち着かず、夜になると小さな声で鳴いていました。
娘は毛布を持ってきて、コタロウの横で眠りました。
翌朝。
コタロウは元気いっぱいに家の中を走り回っていました。
靴をかじり、
新聞紙を散らかし、
庭を駆け回る。
毎日が大騒ぎです。
「また靴を持っていった!」
「こら、コタロウ!」
そう言いながらも、家族みんなが笑っていました。
いつの間にか、
「犬」
ではなく、
「うちの子」
と呼ぶようになっていました。
誕生日にはケーキを買い、
旅行に行く時は一緒。
嬉しい時も、
悲しい時も、
いつもコタロウがそばにいました。
ある日、妻がふと私に言いました。
「この子も家族だね。」
私は笑って答えました。
「そうだな。
もう家族の一員だ。」
その時はまだ、
「いつかお別れの日が来る。」
そんなことは、一度も考えたことがありませんでした。
編集部より
ペットを迎えた日から、「家族」と感じる方は少なくありません。
近年では、「ペットは家族の一員」という考え方が広まり、最期まで一緒に過ごしたいというご相談も増えています。
だからこそ、お別れの時だけではなく、「その先」について考える方も少しずつ増えています。
家族として迎える前に考えておきたいこと
- 最後まで責任を持って育てられるか
- 家族みんなで迎える準備ができているか
- 病気や介護についても考えているか
- 「家族」として最後まで寄り添う覚悟があるか
今回学んだこと
家族になるのに、血のつながりは関係ありません。
毎日一緒に笑い、
毎日一緒に過ごし、
気づけば、
「ペット」ではなく「家族」になっていました。
次回予告
コタロウは家族の中心になっていました。
毎日の散歩。
子どもたちとの思い出。
そして、あっという間に15年という月日が流れます。
少しずつ白くなっていく顔を見ながら、私たちは初めて「いつか来る日」を意識するようになりました。
あなたにとって、
ペットはどんな存在ですか?
「ペット」
「犬」
「猫」
そう呼んでいても、
気づけば
「うちの子」
「家族」
と呼んでいませんか。
家族だからこそ、一緒に過ごした時間は、かけがえのない宝物になります。