気づけば、15年が過ぎていました。
あんなに小さかったコタロウ。
毎日走り回っていた姿が、昨日のことのようです。
でも、気づけば顔には白い毛が増え、歩く速度も少しずつゆっくりになっていました。
第2話 いつか来る日なんて、考えたくありませんでした。
朝六時。
玄関で待っているのは、いつものコタロウです。
「散歩、行こう。」
そう言っているように、しっぽを振っています。
十五年間、毎朝続いた日課。
雨の日も。
寒い冬の日も。
暑い夏の日も。
私たちは一緒に歩きました。
子どもたちも大きくなりました。
長男は就職し、一人暮らし。
娘も結婚して家を出ました。
夫婦二人になった家でも、コタロウだけは何も変わりません。
私たちの帰りを待ち、
嬉しそうに玄関まで走ってきます。
「ただいま。」
そう声をかけると、
しっぽを大きく振って迎えてくれる。
それだけで、一日の疲れがなくなりました。
でも、ある日。
散歩の途中でコタロウが立ち止まりました。
「どうした?」
いつもなら走り出すはずなのに、その日はゆっくりと歩き始めます。
帰ってから妻が言いました。
「最近、寝ている時間が増えた気がしない?」
私は笑って答えました。
「もう十五歳だからな。」
そう言ったものの、胸の奥が少しだけ苦しくなりました。
病院で診てもらうと、先生は優しく話してくださいました。
「年齢を考えると、無理をさせないことが大切ですね。」
帰り道。
妻はコタロウを優しくなでながら言いました。
「ずっと元気でいてほしいね。」
私は
「当たり前に明日も一緒にいる。」
そう思っていました。
だから、
“いつか来る日”
なんて、考えたこともありませんでした。
その日の夜。
コタロウは私たちの足元で安心したように眠っていました。
その寝顔を見ながら、私は心の中でつぶやきました。
「まだ、ずっと一緒にいような。」
編集部より
犬や猫は、人よりも早く歳を重ねます。
だからこそ、シニア期になると「今まで当たり前だった毎日」が少しずつ変わっていきます。
その変化を受け入れながら、一日一日を大切に過ごす時間は、飼い主にとってかけがえのない思い出になります。
シニア期を迎えたペットのために
- 散歩や運動量を見直していますか?
- 定期的に健康診断を受けていますか?
- 食事や生活環境を年齢に合わせていますか?
- 「今」を大切に過ごしていますか?
今回学んだこと
家族との時間は、いつまでも続くように思えてしまいます。
でも、本当に大切なのは、
「当たり前の毎日」を大切にすること。
それが、後になって一番の宝物になります。
次回予告
ある朝、コタロウは立ち上がることができませんでした。
家族みんなで迎えた最後の日。
「ありがとう。」
その一言に込めた、私たちの想いとは。
今日、あなたは
「ありがとう」と伝えましたか?
ペットは言葉を話せません。
でも、毎日そばにいてくれるだけで、たくさんの幸せをくれます。
だからこそ、今日という一日を大切に。
そして、「ありがとう」を伝えられる毎日を大切にしてほしいと思います。